high tempo Druid song
0.
私は死の神
底の底から
見つめる為にやってきた
汝の片割れ
貢の隙間の
瞼の裏の
額の奥に輝く闇(くら)がり
1.
朝に人は目覚める
新たな光が差し込んでくる
旅の始まり
踏む土は険しくなることもあろう
しかし辞めることはゆるされぬ
そして私はそれを辞めない
2.
かすかな違和感
戦の始まり
遠くから火が来たる
馬が 鉄が 兵(つわもの)たちが
風に響く魂の歌声
少女が独りそれを聴く
3.
暗い水面に輪がさざめく
その中で蛇が踊る
輪になって 輪になって
常磐の緑が
廻っている
神話の始まり
4.
少年は歌を歌う
鳥から 獣から 雲から授けられた歌を
荒野の果てに眼がある
真っ赤に燃える
5.
道に戦が暴れている
焼けた土と血の臭い
麦畑が燃える
はたけびとたちの命の
少女は逃げ延びる
眼ざしに新たなものを持って
◎.私は誰だったのか 覚えているものは何処にもいない
私は誰だったのか いちばん覚えていないのはわたしである
この話を語る 舌にして眼(まなこ)
6.
少女は戸を叩く
いくつもの夜を越えて
足の裏が凍える
霜が刺さる
ふと聴こえる
誰かの歌声
7.
少年と獣 そして少女
旅をする いろんなものを見る
山の尾根を超え 泉で水を飲み
森を通り 朝露を見つめる
8.
やがて来る夜
二人は震える
はぜる焚き火
途切れる会話
世界は 酷く美しい
別れようか 別れまいか
◎.私は 言おう
この舌が 語れるうちに
二人が出逢うのは 運命においてであったと
9.
ふたたび 歩き出す
少女は獣を連れて
少年は少女の眼差しを持って
新たなる物語の始まり
10.
花の君は唄う
たった独りで
世界よ 何時いつまでも完璧であれと
見つめられたものは石に変わる
見つめたものは知ってしまう
少女の瞳を持った 少年が辿り着く
11.
少女は知る
自らの命の源を
心の中に 獣たちが住まう
寂しいことはない
また迷わずに 歩き出す
12.
私の歌はここで終わろう
そしてまた私は語られだす
私の名の高さにおいてではない
かれらの子として
かの眼に語られるのだ