" 少年A "

「 私は私を疎外した級友らを憎む 」
「 私は私を虐待した教師を憎む 」
「 私は私をこの世に存在せしめた彼らを憎む 」
「 そしてそんな彼らを存在せしめ、生かし続ける世界を恨み そして憎む 」
「 すべて滅んでしまえばいい 」

「 殺してやる 」
「 殺してやる 」
「 皆殺しだ 」
「 今から14日の金曜日がお前らの命日だ 」
「 死にたいものは昼頃に駅に出てくるがいい 」
「 私の持てる力の全てをもって、この町を焼き尽くす 」
「 すべてを 」
「 すべてを 」
「 この手で 」
「 この手で 」


私、もろとも





少年は、そう書き残して家を出た
学生服
モデルガン
軍用ブーツ
ネットで見てこっそり作ったバクダンふたつ
サバイバルナイフ

そして、フラスコ一杯に詰めたガソリン1L



二週間後の金曜が、僕の命日だ
ガソリンと素人バクダンなんかじゃこの町は焼けないかもしれないけど、それでもいい
この世界から僕が消えるならそれでいい

最後に、少し気にしてもらえるなら



誰も知らないみたいだったけど、僕は生きていたんだ。






息子の異変と失踪に気付いた両親は動転した。
彼らは寝ずに町を探し回った

家族だけではない

警察が

住民達が

友が

教師が


彼を捜し、気に病み、心を痛め、発見を祈っていた
彼の発見は今や、世界の至上の願いだった


少年よ まだ間に合うのならどうか戻ってきて欲しい
君はまだ、川を渡るには早すぎる