レクイエム 003


もう半分あったことを、オレは知らない。
本当は、いつだって半分しか見えてない。
知らなかった半分が、知らないうちに膿になる。
見えなかった半分が、オレの後ろに化けて出る。

オレの知らないもう半分にも、安らかな眠りを。
オレが、君が、そう願ったなら。
オレの口内炎は、治っちゃうんだろうな。
ユーレーたちも、成仏しちゃうんだろうな。
つうか、オレがユーレーなんだったら、 やっぱオレが消えるんだろうかね。ドロンなんつって。

あと少し、もう少し。
弔いの列を蹴散らして。
レクイエムが聴こえぬように、耳を塞ぐ。

そうやって、逃げてる。
そうやって逃げてる途中なんだよ多分。


あと少し、もう少し。
弔いの列を蹴散らして。
レクイエムが聴こえぬように、耳を塞ぐ。

「今はいいよ、とりあえずそれでいい」

ごめんな、ユーレー。