レクイエム 001
左の頬の裏に、口内炎ができた。
静かに白く膿んでいる。
それに舌先を押し付けたり、ゆっくりなぞったりしていると、何も考えられなくなる。
あるいはそれを、奥歯で挿み込むように噛んでみる。
更に何も考えられなくなる。
オレのユーレーが、オレの周りにまとわりついている。
かれこれずっと。
それも1人や2人じゃない。
こいつらも、やっぱり膿んでいる。
それに舌先を押し付けたり、ゆっくりなぞったりしていると、何も考えられなくなる。
あるいはそれを、奥歯で挿み込むように噛んでみる。
更に何も考えられなくなる。
痛くて、甘くて、苦しくて。
それは大事な快楽だった。
欲しい時にだけ取りだせる、見たい時にだけ現れる、オレの大事なオレのユーレー。
てなことを考えてたら、ある時ユーレーが言った。
「オレにしてみりゃ、アンタの方がオレのユーレーなんだけどね。」
なるほどねえ。
なかなかうまいことを言う。
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