草の上で寝転んで流れ行く雲を見て
今日もいつもこの場所であの風を待っている
葉風が揺らす緑の跡は丘に広がる銀の波
鼻先ぬらす露の匂いに朝に気づいた僕がいる
風知り草凪ぐ丘で口笛を吹きながら
今日もいつもこの場所であの風を待っている
夢の音色はどこまで届く女神の羽にさらわれて
耳の先まで秘色(ひそく)に染めて風の便りを聞いている
*
風の中で
声を聞いたよ
透き通る歌声を
それはシルフィードの歌さ
彼女は今日も丘を行く
柔らかい光を踏みながら
*
草の上に寝転んで流れ行く雲を見て
今日もいつもこの場所であの風と戯れて
風切羽が奏でた調べ いつか忘れた空の色
駈けゆくような季節の中で午後の光にまどろんだ
風知り草そよぐ日に口笛を吹きながら
今日もいつもこの場所であの風と戯れて
遠い未来に出会うのだろう 記憶に残る甘い歌
いつまでここで待っていようか 野辺に舞い風踊るまで
*
風知り草 なびく頃 口笛は風の中
沈む夕日のため息は "今日もまた日が暮れる"
風知り草 なびく頃 口笛は風の中
遠い空がささやいた "明日もまた日は昇る" |